メニュー
文字サイズ

身体拘束最小化に向けて

『私達は身体拘束ゼロを目指して組織全体で取り組みます』

患者さんの人権を尊重し倫理的配慮を念頭に、患者の生命・安全確保のためやむを得ない場合を除き、原則身体拘束は行いません。やむを得ず身体拘束を実施する場合は、必要最小限に行い、二次的な身体障害や偶発症の発生に十分注意します。また、常に身体拘束を解除できないか評価をし、身体的拘束を必要としない状態となるよう環境調整や具体的ケアを実践します。

 「身体的束最小化の指針」についてもお読みいただきご理解を賜りますようお願い申し上げます。

令和8年5月28日
新潟県厚生連 豊栄病院
病院長    関 慶一
看護部長 柴田 百合子

身体拘束最小化のための指針

1.身体拘束最小化に関する基本的な考え方
患者の人権を尊重し、患者の生命・安全確保のためやむを得ない場合を除き、原則身体拘束は行わない。やむを得ず身体拘束を実施する場合は、必要最小限に行い、二次的な身体障害や偶発症の発生に十分注意する。また、常に身体拘束を解除できないか評価をし、身体拘束を必要としない状態となるよう環境調整や具体的ケアを実践する。

2.身体拘束の定義
身体拘束とは「衣類又は綿入り帯等を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制することをいう」 
                   昭和63年4月8日厚生省告示第129号における身体拘束の定義   

3.身体拘束に該当する行為
 1)身体に直接装着するもの
   ミトン・抑制帯・介護衣(つなぎ服
 2)患者の行動を妨げるもの
   テーブルつき車椅子・車椅子乗車時の長時間の安全ベルトの使用・車椅子の前にオーバーテーブルを不用意に設置する行為

4.身体拘束に該当しないもの(転倒・転落リスクから守る事故防止対策)
 ・離床センサー、カメラ(眠りスキャン)
 ・クリップセンサー等、衣服には触れるが患者の動作によって容易に外れる状況であるもの
 ・処置や移動時などに安全確保のために短時間に限り車椅子安全ベルトなどを使用(常に当該患者に職員が付き添っており、終了後に確実に解除される場合のみ)
 ・車椅子操作の訓練のため、訓練時間中の安全確保のための車椅子安全ベルトの使用
 ・手術中や検査中など、安全に治療・処置や検査を実施する目的での身体固定
 ・4点柵でベッドを囲い、患者がベッドから降りられないようにする

これらを使用する場合であっても、患者の状態や必要性を常にアセスメントし、行動制限が最小化されるよう取り組む。

5.緊急・やむを得ず身体拘束を行う場合の3要件

 以下の3つの要件を全て満たしていることが必要である。
【切迫性】本人又は他者の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高い

    (意識障害、説明理解力低下、精神症状に伴う不穏、興奮)

【非代替性】身体拘束などの行動制限を行う以外に代替する方法が見つからない

     (薬剤の使用、病室内環境の工夫では対処不能など)

【一時性】 身体拘束やその他の行動制限が一時的である

 緊急・やむを得ない場合に該当する可能性のある患者の状態
 ①麻酔覚醒後半覚醒・術後せん妄
 ②脳血管障害・薬物中毒などによる意識障害
 ③見当識障害・せん妄状態にある患者
 ④ベッドや車椅子からの転倒転落の危険が高い
 ⑤他者への害がある
 ⑥生命維持・回復のために必要なチューブ類がある(中心静脈カテーテル・昇圧剤や麻薬などシリンジポンプを使用中・経管栄養チューブ・各種ドレーン・気管内チューブなど)
 ⑦精神疾患・自殺企図

6.日常ケアにおける基本方針
 身体拘束を行う必要性を生じさせないために日常的に以下のことに取り組む。
 1)患者主体の行動、尊厳ある生活に取り組む
 2)言葉や応対などで、患者の精神的な自由を妨げないよう努める
 3)患者の思いをくみとり、患者の意向に沿ったサービスを提供し、多職種協働で個々に応じた丁寧な対応をする。
 4)患者の安全を確保する観点から、患者の身体的・精神的安楽を妨げるような行為を行わない。

7.向精神薬等使用について
不眠・不穏時の薬剤については、原則としてガイドラインを参考に選定した薬剤を使用する。せん妄時は、患者の状態(活動性)に加え、糖尿病、脳血管障害、パーキンソニズム、腎障害等の有無を考慮し薬剤を選択する。当院の選定した薬剤は指示簿内共通にセット登録されている。

※高齢者の安全な薬物療法ガイドライン・MSDマニュアル

8.身体拘束解除の基準
1)身体拘束3要件を満たさない場合は速やかに拘束を解除する。
2)身体拘束等の影響から身体的侵襲が出現した場合は速やかに拘束を解除する。

9.身体拘束廃止、改善のための職員教育
 患者の人権を尊重し倫理的配慮を念頭に、身体拘束廃止・改善に向けた職員教育を行う。
 1)毎年研修プログラムを作成し、年2回以上研修教育を行う。

10.身体拘束手順
1)適応要件の確認と承認
  ①多職種で適応の要件を検討、アセスメントし決定、看護記録へ記載する。
  ②医師は身体拘束の指示を出す。

2)患者及び家族へのインフォームド・コンセント
  ①身体拘束が発生した場合、拘束の必要性・方法・解除予定日を同意書に基づき、患者・家族へ説明し同意を得る。
  ②同意書にサインをもらい患者ファイルに綴じる。
  ③夜間に身体拘束等の必要性が生じた場合は、家族へは電話にて説明し承諾を得る。(承諾を得る際、承諾者の氏名・続柄を看護記録に記載する。)後日、再度説明し同意書にサインをもらう。

3)看護師による身体拘束の実施と評価
  ①身体拘束実施時のケア方法、観察時間などについて看護計画を立案し患者本人、家族へ説明を行い実施する。
  ②緊急やむを得ない場合に該当するかどうかを常に観察、再検討し該当しなくなったら直ちに拘束を解除する。
  ③拘束を開始する状況、開始時間、拘束解除については看護記録に記載する。 

11.身体拘束時の看護 
身体拘束最小化のための運用・手順 に準ずる。

令和6年6月作成
令和8年5月15日改訂
医療安全管理対策委員会
身体拘束最小化チーム